【学習ログ】CCNA試験対策② ルータの機能とルーティング種別

※このページは過去に自分がCCNAの勉強をしたときの学習ログです。誰かの参考になれば幸いです。

【注】
このページの主旨は、初学者でも「楽しく」「体感的」に覚えられることを目的にしていますので、細かい説明を省いていたり、厳密に言うと正しくない表現もあるかもしれません。
あくまで一つの考え方としてお楽しみください。

このページでは、ルータの機能やルーティング種別(スタティック・ダイナミック)の大筋を述べていきます。

スポンサーリンク

ルータでできること

ルータの基本機能

ルータはOSI参照モデルのレイヤー3(L3)に属するデバイスで、異なるネットワークを中継し橋渡しする機器のことを指します。IPアドレスをもとに宛先を判断します。

ルータにスタティックルーティングダイナミックルーティング(後述します)を設定することにより、直接接続されていない異なるネットワークを学習することができます。

このとき、学習したネットワーク情報が保存される場所のことをルーティングテーブルと言います。

ルータは宛先への最適なルートを、自身の持つルーティングテーブルから選んでパケットを転送する処理をします。また、パケットを処理する際に送信元・宛先MACアドレスを書き換える役目も持ちます。

ルーティングテーブルには次の宛先に向かうための隣接ルータや、自身のルータの出力インターフェイスの情報が記録されています。

なお、次の宛先に向かう際の隣接ルータのことをネクストホップといいます。

スイッチとルータの違い

ここで混同しがちなのが、スイッチとルータです。大きな違いはルータは先述の通りL3デバイスであるのに対してスイッチはL2デバイスとなります。

L2デバイスには、L2スイッチブリッジが存在しますが、ここではL2スイッチを想定して説明します。

先述の通り、ルータはIPアドレスをもとに宛先を判断するのに対して、スイッチは自身の持つMacアドレステーブルを参照して宛先を判断します。

また、ルータは異なるネットワークを橋渡しできますが、スイッチは同一ネットワーク内のみしか処理できません。

他にはVLANの利用時に、ブロードキャストドメインを分割できるといった機能があります。
(ブロードキャストドメインとは、ブロードキャストが届く範囲のことを指しますが、ここでは説明を割愛します)

また、スイッチやルータの他にもレイヤ3スイッチというものがありますが、これはレイヤ2スイッチの機能とL3デバイスであるルーティング機能を一体型にした機器のことを言います。

シリアルインターフェイス

インターフェイスコンフィギュレーションモードへ移行する際にはインターフェイスタイプを指定しますが、FastEthernetやGigabitEthernet以外にもserialインターフェイスというものがあります。

用途は主にWAN接続で利用されます。

WAN接続するには、DCEと呼ばれる機器(家庭内に設置されるモデムなど)を通じて通信事業者のネットワークへ接続します。

実際に利用者のデーターを送信する機器(ルーターやPC)のことをDTEと言います。

ルーティングテーブルについて

ルーティングテーブル上で複数の該当するルートがあった場合は、ネットワーク部が長い方が優先されます。これをロンゲストマッチと言います。

ルーティングテーブルに宛先の登録がないパケットを送信するためのルートのことをデフォルトルート(ラストリゾートゲートウェイ)と言います。デフォルトルートが登録されているとルーティングテーブルに宛先の該当がない場合は、全てデフォルトルートに向けて送信されます。

pingtraceroute

ルータやスイッチにおいて、問題なく隣接機器や宛先となる機器と通信ができているかの疎通確認するためにpingコマンドやtracerouteコマンドを使用します。

pingコマンドは、ネットワーク層のプロトコルであるICMPのパケットを利用します。また、標準pingと拡張pingの2種類あります。

拡張pingコマンドは、送信元となるインターフェイスの変更ができたり送信パケットのサイズを変更することができます。

標準pingコマンドを実行するには、特権EXECモードでping <IPアドレス> コマンドを実行

拡張pingコマンドを実行するには、特権EXECモードで何も指定せずにpingコマンドを実行
 送信元インターフェイスを指定してpingを実行するにはping <IPアドレス> sourceオプションを実行

tracerouteコマンドはどの経路を通って宛先に届くのか確認できます。ルータを跨ぐごとにTTLを1づつ減らしICMPエコー要求します。

Cisco機器で実行するにはtraceroute<IPアドレス> コマンドを実行します。

Windowsではtracertコマンドを使います。

ルータの設定と設定確認

スタティックルーティング

管理者が手動でルート情報を設定する方法をスタティックルーティングといいます。

スタティックルーティングの設定例

スタティックルーティングは、グローバルコンフィギュレーションモードで以下のコマンドを実行します。

(config)#ip route <IPアドレス><サブネットマスク><ネクストホップ>

【設定例】

Router1(config)#ip route 192.168.100.0 255.255.255.0 192.168.10.2
Router1(config)#exit

フローティングスタティックルート

バックアップ用のスタティックルートのことをフローティングスタティックルートといいます。

障害が起こった時のために、通常のスタティックルートとは別の迂回ルートをあらかじめ指定しておくもので、異なるルータを経由することになりますので、通常時のルートとは違うネクストホップを指定します。

設定方法としては、通常のスタティックルート設定コマンドの後ろに優先度を表す数値を入力します。

【設定例】

Router1(config)#ip route 192.168.100.0 255.255.255.0 192.168.1.1(通常のスタティックルート)
Router1(config)#ip route 192.168.100.0 255.255.255.0 192.168.1.5 2

2」などの数値を入れることで、通常のスタティックルートよりも優先度が小さくなりバックアップのためのルートとしてみなされます。

ただし、障害が起こっていない時はshow ip routeコマンドでフローティングスタティックルートを確認することはできません。

ダイナミックルーティング

ルータ同士で情報をやりとりして自動的にルートを取得する方法をダイナミックルーティングといいます。

自動的にルートを取得するためにルーティングプロトコルを使用します。

ダイナミックルーティングの種類

ルーティングプロトコルの種類は次のようなものがあります。

RIP(ディスタンスペクタ型)
OSPF(リンクステート型)
EIGRF(拡張ディスタンスペクタ型)
BGP
IS-IS(リンクステート型)

ルーティングプロトコルによって最適なルートの判断基準が異なります。宛先ネットワークまでの最適な距離の判断基準にする値のことをメトリックといいます。

RIPはホップ数、OSPFは帯域幅から計算されるコスト、EIGRPは帯域幅・遅延・信頼性・負荷・MTUを使う複合的なものがメトリックとなります。

こうして最適なルートをメトリックの値から判断するわけですが、ルーティングテーブルに登録されるのは最もメトリックが小さなルートとなります。

IGPとEGP

さらに、ルーティングプロトコルはIGPEGPに分けられます。IGPは自律システム(AS)でAS内部の経路情報を交換するものがIGPとなります。ISPなどがこのASにあたります。

EGPとは異なるAS間でも経路情報をやりとりできるプロトコルのことを言います。

上記で述べたルーティングプロトコルをIGPとEGPに分類すると以下のようになります。

 【IGP】
  RIP
  OSPF
  EIGRP
  IS-IS

 【EGP】
  BGP

ディスタンスペクタ型・拡張ディスタンスペクタ型リンクステート型

IGPに分類されるルーティングプロトコルは、最適なルートを計算する際の考え方がそれぞれ異なります。

交換して得られた情報から距離と方向を元にベルマン・フォード法というアルゴリズムを使って宛先のネットワークまでの最適なルートを選ぶ方法をディスタンスペクタ型といいます。ルーティングプロトコルではRIPが該当します。

ディスタンスペクタ型を機能拡張したものが拡張ディスタンスペクタ型で、アルゴリズムはDUALが使われています。拡張ディスタンスペクタ型を採用しているルーティングプロトコルはEIGRPです。

対して、それぞれのルータが自身のインターフェイスの情報を交換する方法をリンクステート型といいます。OSPFやIS-ISがこれに該当します。

クラスレスルーティングプロトコルとクラスフルルーティングプロトコル

さらに細かく分類しますと、ルーティングアップデートの際にVLSM環境(/25や/26など)のサブネットマスクの情報を含めることができるタイプをクラスレスルーティングプロトコルと言い、反対に含めることができないタイプをクラスフルルーティングプロトコルと言います。

これまで紹介したルーティングプロトコルの中では、RIP(バージョン1)がクラスフルルーティングプロトコルであり、それ以外はクラスレスルーティングプロトコルとなります。

アドミニストレーティブディスタンス

複数のルーティングプロトコルが混在していた場合に、どのルーティングプロトコルで得た情報を最適な経路とするのかの判断基準になるための値のことをアドミニストレーティブディスタンスと言います。

値が小さいほど優先度が高くなります。この情報は次に説明するshow ip routeコマンドで確認することができます。主なアドミニストレーティブディスタンス値の一覧は以下の通りです。

・直接接続 0
・スタティックルート 1
・eBGP 20
・EIGRP 90
・OSPF 110
・IS-IS 115
・RIP 120
・iBGP 200

例えば、同じ経路をスタティックルートとOSPFで学習した場合、値の小さなスタティックルートが優先されルーティングテーブルに登録されます。

よく混同しがちなのが、先述したメトリックアドミニストレーティブディスタンスですが、ここは私も完全に落ちるまで時間がかかりました。

これらの違いを身近なものに例えて、以下の記事で解説をしていますので、よろしければご覧ください。

ルータの設定内容の確認

ルータの設定情報を確認するためには、主に以下のコマンドを使います。

・インターフェイスの確認を行うには、特権EXECモードshow interfacesコマンドを実行

・インターフェイスのIPに関する設定の確認を行うには、特権EXECモードshow ip interface brief <インターフェイス> コマンドを実行

・ルーティングテーブルの確認はshow ip routeコマンド

具体的な利用シーンや、表示イメージは以下の記事で説明していますのでよろしければご覧ください。

本日は以上となります。

最後までお読みくださりありがとうございました。